英雄伝説 空の軌跡 THE ANIMATION

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第13回 『アニメ大予想ストーリー 宇宙の軌跡(そらのきせき)』

 

 

こんにちは、このコーナーの司会にしてメイドのリラと申します。
今回は趣向を変えまして、私達の予想を大いに盛り込んだ、
『アニメ大予想ストーリー 宇宙の軌跡(そらのきせき)』を
お送り致します。調子に乗りすぎて大変長くなっております。
お食事、お手洗い、お仕事などをお済ませの上、
時間を取ってお読みになることをお勧めいたします。
お送りする経緯は、先週のこのコーナーをお読みください。
ストーリー内の設定、キャラクターはオリジナルの物です。
名前、名称が同じでも設定が異なっております。
生暖かい目でご了承くださいますよう、宜しくお願い致します。
それでは皆様、ごゆっくりとお楽しみください。

 

 

 
『宇宙の軌跡』
原案:ドロシー・ハイアット
監督・脚本:ナイアル・バーンズ
ナレーション:リラ
 

──遠い昔、遥か彼方の銀河系で……。
漆黒の宇宙。その静寂を切り裂くように、攻撃の光が瞬きます。
帝国軍宇宙戦艦に追われ、攻撃を受ける共和国宇宙艇がありました。
共和国宇宙艇には、帝国との和平交渉を進めようしていた共和国の
姫君が乗っております。彼女は自分の忠実なナビゲーターロボット、
ドロシーに、とあるメッセージ託しました。

 

 

 

 

かならず届けてください。頼みましたよ、ドロシー。

 

 

 

 

はい、ヨシュア姫さまぁ。どうかご無事でぇ。

 

 

 
 

そこに、礼儀作法プログラムの壊れた執事ロボット、
ナイアルがよたよたと入ってきます。

 

 

 

 

あー、ドロシーの案でSFかよ! 冒頭から大ピンチじゃねぇか!!
帝国兵士がもう艦内に乗り込んできやがったぞ!!
すぐそこまで来てる、姫さんもドロシーも逃げるぞ!

 

 

 

 

ナイアル、あなたはドロシーと共にこの脱出ポットに乗りなさい。
今まで良く尽くしてくれました。礼を言います。

 

 

 

 

おいおい姫さん、バカ言っちゃいけねぇ。
俺達ロボットは主人を最後まで助ける。
あんたを残して俺達が逃げれるわけが無ぇだろ。

 

 

 

 

ナイアル先輩、極秘任務ですぅ。行きましょう!

 

 

 

 

帝国兵が来ました、急いで!!

 

 

 
 

宇宙艇に乗り込んできた帝国軍兵士は、脱出ポット前に居るヨシュア姫たちに構わず粒子銃で撃ってきます。果敢にもヨシュア姫は粒子銃にて応戦し、ナイアルとドロシーをポッドに押し込んで扉を閉めます。ヨシュア姫が壁の非常発射ボタンを叩くと、ポッドは音も無く共和国宇宙艇から離れていきます。

 

 

 

 

おい、ドロシー! 引き返せ、姫さんが!!

 

 

 

 

わたし達はぁ、遊撃士を探してメッセージを伝えなければなりません。
それがヨシュア姫様がわたしたちに与えた極秘任務ですぅ。

 

 

 

 

遊撃士……!? そんな、実在するのかよ。

 

 

 
 

遊撃士と言う人知を超えた能力を持った人々が、かつて多く居たとされています。しかし今では御伽噺のように語られるだけで、遊撃士を見たというものは居ません。
しばらくすると、彼らの乗っている脱出ポッドが大きな振動を受けました。

 

 

 

 

うわぁ、何だ何だ!!

 

 

 

 

商団星人の船に捕獲されたようですぅ。
ロボットだけで航行する生体反応の無いこの船は、
タダで浮いている商品に見えたんでしょうねぇ。

 

 

 

 

うぉ、ドアをこじ開けてきやがったぞ!!

 

 

 
 

体長1メートルほどの小柄な商団星人達が、ぞろぞろとポッドに入ってきました。船内の備品を物色しながらナイアルとドロシーに近づき、スタンガンで電気ショックを与えて床に転がします。抵抗する暇も無く彼らの意識はそこで途切れました。

 

 

 
 

そして……数日後、
所は変わりまして辺境の星ボースの商業街。人ごみの中に大量の荷物を抱えて歩く少女が一人。フリルのカチューシャにエプロンドレス。勤め先のお屋敷から買出しに来たメイドさんのようです。

 

 

 

 

ふぅ、今日は買い物多いわねぇ。
次は、ナビゲーターロボと通訳ロボね。

 

 

 
 

メイドさんがロボットを売る店へ行こうとすると、
ちょうど都合よく、商団星人が声をかけてきます。

「うへへ、いいロボット入荷してますぜお嬢さん」

 

 

 

 

せっかくだし見せてもらおうかしら。
店はどこ? 案内して頂戴。

 

 

 
 

商団星人に連れられて街の片隅の広場に案内されます。広場には数体のロボットが並べられ、その中には電源を落とされたままのナイアル、ドロシーの姿もあります。メイドさんは熱心に品定めをはじめ、やがてドロシーに目を留めました。

 

 

 

 

ふーん。結構いいのを揃えているじゃない。
この子、共和国製の王室専用ナビゲーターよ。
流通なんかに乗るはずがないわ。
あんた達、盗品を扱っているのね!

 

 

 
 

「バレたとあっちゃしょうがねぇ。
俺達は女子供でも売りさばく用意は出来てんだ」

そう言うとメイドさんを囲むように10人の商団星人が現れ、各々武器を構えます。メイドさんは両手に荷物を抱えたまま彼らを見据えています。

「野郎どもかかれ!」

 

 

 
 

そして数分の時が経ち、メイドさんの手によりロボット達の電源が次々と入れられ、ナイアルとドロシーは目を覚ましました。

 

 

 

 

んぁ!? ここはどこだ! あのちっこい宇宙人どもにやられて……。
お、おい! ドロシー、生きてるか!?

 

 

 

 

もう食べれませんよぅ。でもナイアル先輩にはあげませんむにゃぁ。

 

 

 

 

ロボットの癖に寝ぼけてんじゃねぇよ!
起きろポンコツ! 動けるようになってるぞ!

 

 

 

 

あなた達大丈夫そうね、良かったわ。もう捕まるんじゃないわよ。

 

 

 

 

アンタが助けてくれたのかい? 俺は執事ロボ、ナイアル。
こっちはナビゲーターロボのドロシーだ。

 

 

 

 

私はメイドのエステルよ、エステル・ブライト。
盗品はこの街でも捕まるわよって脅したら、
ロボットを置いてみんな逃げて行っちゃっただけよ。

 

 

 
 

意識が回復したドロシーは、状況を把握するため辺りをスキャンしました。すると、路地裏に商団星人が気絶をし積み重なって倒れている事に気付きます。

 

 

 

 

じゃ行くわね。私まだ買い物が残っているの。
ちゃんと流通しているロボットを買いに行かなくちゃ。

 

 

 

 

待ってくださいぃ。わたし達も連れて行ってください!
きっとお役に立ちますからぁ。

 

 

 

 

ええ!?(ヒソヒソ)お前極秘任務はいいのかよ!

 

 

 

 

(ヒソヒソ)黙っててください。この方はきっと……。

 

 

 

 

何か事情がありそうね。いいわ、あんた達を雇ってあげる。
買い物はまだまだ沢山あるわ。いっぱい持ってもらうから、
ナイアル、ドロシー、よろしくね!

 

 

 

 

わぁ、エステルちゃんありがとうですぅ。

 

 

 

 

いきなりちゃん付けかよ。
まぁ俺だって様とかいわねぇからな。

 

 

 

 

その方が私も気が楽だわ。さぁ行きましょう。

 

 

 
 

エステルはナイアルとドロシーを引きつれ散々買い物をして、帰路に着いたのは日も暮れた頃。ホバーエアカーを飛ばし、エステルが住み込みで働く街から離れたお屋敷へと向かいます。

 

 

 

 

どうしたんですかぁ、エステルちゃん。
急に黙り込んで。疲れちゃいましたかぁ?

 

 

 

 

なんだろう、嫌な予感がするの……。

 

 

 
 

丘を越えると見えてくるはずのお屋敷は見えてきません。
その場所には無情にも黒煙だけが上がっておりました。

 

 

 

 

!!

 

 

 
 

丘の上の林にホバーエアカーを停めたエステルは、二人に身をかがめるように指示を出し、様子を伺います。既に消し炭と化したお屋敷前には3人の帝国兵士がおり、彼らが何処かへ通信する声が聞こえてきました。

「報告します。商団星人に自白させ聞き出した『ロボットを連れて行ったメイドの特徴』から所在を突き止めたのですが、人間二名しかおりませんでした。何も口を割らない二名は始末しました。はい、撤収します」

ホバーエアバイクに乗り、帝国兵士は街のほうへ走り出します。

 

 

 

 

……逃がさない!

 

 

 
 

エステルは駆け出し、小高い丘の上から下の道を走るホバーエアバイクまでジャンプしました。

 

 

 

 

おおおぉ!? エステル嬢ちゃん!?

 

 

 

 

……!

 

 

 
 

エステルは後続のホバーエアバイクに飛びつき運転していた帝国兵士を掴み捨て、ハンドルを切って二台目のホバーエアバイクに車体をぶつけます。二台共バランスを崩し岩に激突する中、残る三台目の車体に飛び移り、運転する帝国兵士を羽交い絞めにしました。

 

 

 

 

あの屋敷の老夫婦は素性の知れない私なんかに優しくしてくれた!
それなのに、それなのになんて酷い事を!!

 

 

 
 

帝国兵はエステルを振り払い、腰の粒子銃を抜き撃ちます。ですがエステルはエプロンに隠し持っていたレーザー棍を抜き放ち、全ての粒子光線を弾きました。エステルはホバーエアバイクから音もなく離れ着地します。突然離れた意味を理解した帝国兵は前に振り返りました。しかし前方に迫った岩壁に高速で突っ込み爆発したのでした。

 

 

 

 

エステルちゃぁぁん!

 

 

 

 

おい、エステル嬢ちゃん! 無事か!?

 

 

 

 

私は平気よ。帝国兵も頭を打って気を失っただけ。
バイクと通信機は壊したから時間が稼げるわ。
その間に……、手伝ってくれる?

 

 

 

 

……。

 

 

 

 
 

エステルと二体のロボット達は、土をかぶせ石を置いた簡易的な墓を作り、老夫婦の冥福を祈りました。

 

 

 

 

きっと、俺達が帝国に追われていたんだ。そのせいで……。
すまねぇ、エステル嬢ちゃん。巻き込んじまって……。

 

 

 

 

いいえ、貴方たちを助けたのは、この私。
この力は使わないって決めていたのに。
もう争いとは無縁に生きようと誓っていたのに……。

 

 

 

 

エステルちゃん、あなたなのね?
かつて、人間を超越した能力を政治に利用され
恒星間の戦いや陰謀に巻き込まれ全滅したと言われている、
あの……。

 

 

 

 

その名はもう捨てたの。この能力が争いを生み、
その因果でおじいさんとおばあさんが亡くなった。
……私が殺したも同然よ。

 

 

 

 

何言ってやがるんだ!そんなバカな話が
あるかよ! 悪いのはあの帝国兵と、
そいつらに指示を出していた奴らだろ!

 

 

 

 

誰かを憎んでも、亡くなった人たちは戻らない。
私はもう誰も踏み込まない辺境惑星へと旅立つわ。
あなた達も無事に逃げれるといいわね。

 

 

 
 

エステルが口笛を吹くと、屋敷の近くにあった丘が崩れ出します。中から全長20メートルほどの宇宙艇が現れ、エステルの頭上まで眩い光を放ちながらやってきます。

 

 

 

 

ピューイ!

 

 

 

 

久しぶりね、高速宇宙艇ジーク号。また長旅になるわ。

 

 

 

 

待って! エステルちゃんの力が必要なの!

 

 

 
 

ドロシーは手のひらを差し出すと、その上に立体映像が投射されます。そこに映し出されたのはヨシュア姫の姿でありました。

 

 

 

 

『遊撃士様、まだ生きていらっしゃるならお力をお貸しください。帝国は建造した惑星級戦艦リベルアークに搭載した超荷電粒子砲ドラゴンスレイヤーにより、共和国王都のある惑星グランセルを一撃の下に破壊しようと計画しています。今この船は帝国幹部レオンハルト卿に追撃され、私は間もなく人質としてリベルアークに連れて行かれることでしょう。全てのデータをドロシーに持たせました。どうか、どうかグランセルの人々をお救いください……。かならず届けてください。頼みましたよ、ドロシー』

 

 

 

 

惑星グランセル、レオンハルト。
それに……共和国ヨシュア姫……。

 

 

 

 

ドロシーお前、そんな秘密を俺にも隠してたのか……。

 

 

 

 

……ヨシュア姫。知らない仲じゃない。
ヨシュアは私が生きていると確信していたのね。
……愛しいヨシュア。

 

 

 

 

え、おいおいおいおい。
女同士だろ、えぇ!?

 

 

 

 

ヨシュア姫は、帝国に王位継承権を低く偽装するため
性別を偽る術を学ばれた、正真正銘の男性よ。

 

 

 

 

……!!!!

 

 

 

 

はいぃ、ごく一部の側近しか知らない事実ですぅ。

 

 

 

 

何で俺も教えられてないんだよ! のけ者か!

 

 

 

 

ヨシュアは平和を願い政治に生きた。でも彼のその生き方は
かつて遊撃士を滅ぼした、力ある者の慢心。
遊撃士の力を秘めていた彼から、私は去るしかなかったのよ。

 

 

 

 

エステルちゃん……。

 

 

 

 

あの美しい姫さんが男で遊撃士?
全く展開について行けん。この男女逆転劇は誰の案だよ。

 

 

 
 

……クス。

 

 

 

 

……ヨシュア姫を助けに行く。
惑星グランセルの破壊を阻止するわ!
この呪われた力は、この日のためにあったのね。
さぁ、ジーク号に乗って!!

 

 

 

 

ピューイ!!

 

 

 
 

朝日が昇る中、エステル、ナイアル、ドロシーを乗せた高速宇宙艇ジーク号は惑星ボースを飛び立ちます。ドロシーにインプットされていた惑星級戦艦リベルアークへの航路を取り、超空間航行を始めます。そして、遊撃士姿に着替えたエステルは、二体のロボットに自分の過去を語り始めました。

 

 

 

 

5年前の話よ。私の力を見出した師匠は遊撃士の政治への介入にとても積極的だった。絶滅したと言われる遊撃士を表舞台へ返り咲かせようと考えていたの。まだ右も左もわからない11歳の私には、それがどんな意味を持つかもわからなかった。そんな頃よ、ヨシュア姫に遊撃士の能力があるとして師匠が秘密裏に共和国に呼ばれたのは。修行中の私も師匠と共に惑星グランセルに行ったの。そこで会った同じ歳のヨシュアと仲良くなるのに、そう時間はかからなかったわ。

 

 

 

 

そして、14歳になる頃には互いに惹かれあっていた。ヨシュアは聡明で知的で、誰よりも平和を願っていた。いつしか私も、その支えになりたいと願うようになった。でも政治的情勢は、あの頃から帝国が厳しい圧力をかけてきていた。いつ戦争が起きてもおかしくない中、師匠はより自分を高く買ってくれる帝国側へ渡る決断を下したわ。

 

 

 

 

私は反対した。力を利用し政治に介入して帝国へ寝返ろうとする師匠を許せなかった。でも師匠に言われたの。「お前が愛しいヨシュアの側に着くというのなら、それすら政治への介入となる。力を利用される時が必ず訪れる。それは俺のしている事と何ら変わらぬことだ」とね。ヨシュアは既に遊撃士としての力を会得していた。この力で共に平和な世界を築こうって私に言ってくれた。でもそれは力が政治に使われると言う師匠の言葉と同義。私はそれを否定しきれなくて、ヨシュアの元から逃げてしまった。

 

 

 

 

エステルちゃん、きっとヨシュア姫さまはそんな意味で言ったんじゃ…。

 

 

 

 

よせ、ドロシー。本人同士の問題だ。それに、
もうすぐ会って確かめられるだろ。

 

 

 
 

超高速飛行を抜けた彼らの眼前に、月と見間違えるほどの
大きい球体の要塞、『惑星級戦艦リベルアーク』が広がります。

 

 

 

 

ピューイ!!

 

 

 

 

舵が効かない、引き寄せられてるわ!

 

 

 

 

強力な電磁場ですぅ!

 

 

 
 

リベルアークは強力な電磁場を発生させ、付近を航行する宇宙船を強制コントロールしてしまう装置の開発に成功していました。ジーク号はリベルアークの宇宙船格納ベイのひとつに誘導され強制着陸しました。既に帝国兵一個小隊が粒子銃を持ち包囲しています。

 

 

 

 

おい、外は帝国兵でびっしりだぞ!

 

 

 

 

……ヨシュアを感じる。確かにここにいる。

 

 

 

 

ヨシュア姫さまも遊撃士ならぁ、きっとご無事ですねぇ!

 

 

 

 

レオンハルト卿に、ヨシュア一人では勝てない!
レオンハルトは、いえ、レーヴェは私の師匠だから……。

 

 

 

 

師匠ってあの……!
敵も遊撃士ってことかよ!

 

 

 

 

私が敵を引き付ける。だけど、遊撃士能力を使えばレーヴェは
私の存在に気づいて必ずやって来る。戦いは避けられないわ。
その間にナイアルはヨシュアを助け出して!
ドロシーは電磁波をどうにかして脱出準備を!

 

 

 

 

俺が姫さんを助けるのか!? うはぁ、責任重大じゃねぇか。
リベルアークとか言うこのデカ物はどうすんだ!
超荷電粒子砲ドラゴンスレイヤーを止めないと
惑星グランセルに撃ち込まれるんだろ!

 

 

 

 

私が何とかする!

 

 

 
 

そう言うとエステルはハッチを駆け下り、取り囲む帝国兵士一個小隊前へ躍り出ました。人心をも掌握する力を持つ遊撃士能力を使い、帝国兵の意識が自分以外に向かないようにコントロールします。レーザー棍を抜き放したエステルは、帝国兵の銃撃を回避しながら次々に帝国兵士を寸止めの衝撃波により気絶させていきます。

 

 

 

 

正確なヨシュア姫の居場所を調べるためと電磁波を止めるためにぃ、
メインサーバにアクセスできるコンピュータまで行かないといけません。
ナイアル先輩、どうしましょう~!

 

 

 

 

ドロシーついて来い! 俺に考えがある!

 

 

 
 

エステルは帝国兵をなぎ倒し、惑星級戦艦リベルアークの内部へと潜入していきます。そして大きな遊撃士能力が近づいて来ることを感じます。レーザー剣による正面からの一刀両断。エステルの握るレーザー棍で受け止めます。互いのレーザーの交差する低い音の向こうにレーヴェが居ました。

 

 

 

 

お久しぶりね、レーヴェ師匠!
ヨシュアを返してもらいに来たわ!

 

 

 

 

…………!

 

 

 
 

「剣を交えれば解る、未だ迷いがあることが。
その様な剣で俺に立向かう気か」


そう語るレーヴェは恐ろしいほどに冷酷な視線をエステルに向けました。

 

 

 

 

確かに未だ私は迷い続けている。
それは力を追い求め突き詰めた貴方の、その
人間からかけ離れた痛ましい姿を見たからよ!

 

 

 

 

……みししっ!

 

 

 
 

「お前が迷うのは弱いからだ!
剣が! 心が! 能力が!!」


レーヴェの剣裁きにかろうじてついて行くことが出来ているエステル。

 

 

 

 

奥義・太極輪!!

 

 

 

 

みししっ!!

 

 

 
 

「絶技・冥皇剣!!」

双方の技がぶつかり合い、辺りに凄まじい風圧と光を放ちました。
一方その頃、この戦いの混乱の中で右往左往する帝国兵達の横を、
おずおずと内部へ向かって歩く帝国兵士が二人……。

 

 

 

 

本当にバレませんかねぇ、この格好。

 

 

 

 

倒れていた帝国兵からかっぱらった全身鎧にフルフェイスだ。
この混乱時、これを着ていれば見分けがつくわけがねぇ。
で、メインサーバにアクセスできるコンピュータってどこだ?

 

 

 

 

この扉の向こうがコマンドルームで端末があるはずですぅ。

 

 

 

 

よし、いいか? 俺達は見回りに来た兵士って設定で入るぞ。
なぁに、堂々としてりゃ気づかれやしねぇって。

 

 

 
 

コマンドルームの扉を開け、ナイアルは胸を張って入ります。

 

 

 

 

見回りに来まし……ぎゃ!

 

 

 
 

突如ナイアルの頭に花瓶が振り下ろされ、直撃します。そのままナイアルは倒れこみました。

 

 

 

 

わわわ、ナイアル先輩がやられましたぁ!
思った以上にあっけなかったですぅ。

 

 

 

 

その声はドロシー? え、じゃあこっちは……。

 

 

 

 

ヨシュア姫さまぁ!! ご無事で何よりですぅ。
その格好はどうなされたんですかぁ?

 

 

 

 

侵入者が来た混乱で兵士の警備に隙が出来たから、
メイドロボットの服を剥ぎ取って逃走したんだ。
侵入者って貴方達二体だったんだね。

 

 

 

 

遊撃士をちゃぁんと連れてきましたよぉ!
これでヨシュア姫さまも遊撃士なら、二人で戦えば楽勝ですねぇ!

 

 

 

 

僕が遊撃士能力があるとなぜ?
もしかして連れてきたのは……、エステルなのかい。

 

 

 

 

はい、遊撃士エステルちゃんです!

 

 

 

 

そうか。エステルならあれを見たら必ず来てくれると信じていた。
今ここの通信機から、共和国軍艦隊に出動指令を出したんだ。
共和国軍艦隊が到着し次第、総攻撃を開始する。果たしてそれで
超荷電粒子砲ドラゴンスレイヤーを止められるか解らないけど……。

 

 

 

 

いてて、人間なら死んでるっての……。
超荷電粒子砲ドラゴンスレイヤーなら、
エステルの嬢ちゃんが止めるって言ってたぞ。

 

 

 

 

そんな、方法も解らないのにどうやって……。

 

 

 

 

はいっ、電磁波発生をハッキングして止めましたよ~。
船に戻ってエステルちゃんを待ちましょう。

 

 

 

 

お姫さんにも遊撃士能力があるなら、
助けに行ったほうが早いんじゃねぇか?

 

 

 

 

助けに行きたい。けど、足手まといにしかならない。
僕には、もう遊撃士能力は無いんだ。エステルが去ったあの日、
レーヴェは僕に術式を施して能力を消し去ってしまった。

 

 

 

 

ええ!?

 

 

 

 
 

ヨシュア姫とロボットたちが再会した頃、エステルとレーヴェはリベルアーク中枢まで吹き抜け構造の巨大なパイプの中、手すりすらない通路の上で戦い続けていました。

 

 

 

 

みししっ。

 

 

 
 

「俺を倒せると考え単身乗り込んできた訳ではあるまい。
エステル、貴様一体何を企んでいる」

 

 

 

 

超荷電粒子砲ドラゴンスレイヤーを使って
惑星グランセルを破壊すると聞いたわ。
それを止める方法を貴方は知っているはずよ!

 

 

 

 

……みしし。

 

 

 
 

「方法はある。お前と俺がまた手を組めば、帝国と共和国の両方を手中に収める事も容易。真の平和を願うならば最も犠牲の少ない選択だ。ドラゴンスレイヤーの発射も止めてやろう」

 

 

 

 

……解ったわ。この通路の奥のフロアのエネルギールームを
破壊すれば超荷電粒子砲ドラゴンスレイヤーは撃てないのね。

 

 

 
 

エステルはレーヴェの剣を受け流し、奥のフロアへ走り出しました。

 

 

 

 

みししっ!

 

 

 
 

「貴様、俺の心を読んだだと!?
俺をも知らぬ新たな能力を得ていたのか!!」

 

 

 

 

遊撃士とは力ではないと気が付いたとき、
私の中に見えた遊撃士の理(ことわり)。
師匠、貴方はなぜ解らないの。欲望が能力を曇らせている事に。

 

 

 
 

高速宇宙艇ジーク号まで戻ってきたヨシュア姫と二体のロボット。
急ぎ乗り込んで発進準備を整えます。

 

 

 

 

遅ェ!! エステルお嬢ちゃんはまだか!

 

 

 

 

ピューーイ!!

 

 

 

 

わわ、この子、ヨシュア姫が乗り込んだら
強制発進するようにマスター命令を受けてますぅ!

 

 

 

 

ロボットやコンピュータが逆らえないマスター命令!?
エステルが出していた命令なのか!

 

 

 

 

謀ったな、エステル嬢ちゃん……。
どうあっても姫さんを助けてぇみてぇだな!
ドロシーすぐプログラムを解除しろ!!

 

 

 

 

駄目ですぅ。この子が受け付けません~。

 

 

 

 

エステル、また君は一人で……。

 

 

 

 

ピューイ!!

 

 

 
 

ジーク号が宇宙船格納ベイを飛び立ちリベルアークから離脱していきます。
その頃、リベルアーク内部のエネルギールームにたどり着いたエステルは、奈落の中枢へと伸びる巨大な柱に設置された光り輝くコアへと、細い通路の上を走っていました。

 

 

 

 

みししっ!

 

 

 
 

「逃れられると思ったか!!」

追いついたレーヴェはエステルに切りかかりました。エステルはレーザー棍でそれを受け止め、動けなくなります。そこにナビゲーターヴォイスがリベルアーク内に流れます。

『惑星グランセル射程距離に入りました。
ドラゴンスレイヤー発射まで後300秒。
関係各所の避難を速やかに行ってください』

 

 

 

 

……!!

 

 

 

 

みししっ!

 

 

 
 

「フッ、もう無駄だエステル。今からコアを破壊したとしても、
チャージされたエネルギーはこのリベルアークを吹き飛ばす事になる。
そうなればお前もヨシュアも助からんぞ」

 

 

 

 

ヨシュアが離れていくのを感じた。私の仲間と脱出したのよ。
この忌まわしい力が、私と師匠の二つも消え去るというなら、
ここで終わることに何の悔いも無いわ。
ヨシュアはきっと正しいことに力を使える、今なら私は信じられる。

 

 

 

 

みしし。

 

 

 
 

「ヨシュアの能力など、とうにこの俺が封印した。
貴様と同じように敵になる恐れがあったからな」

 

 

 

 

封印!! そうだったの……。
それでもヨシュアは平和を目指して戦い続けていたのね。

 

 

 
 

エステルは、レーヴェを振り払いコアを睨みました。

 

 

 

 

力なんか有っても無くても、ヨシュアは変わらない。
それにあの時気が付けなかった私……バカだよね。

 

 

 
 

エステルは切りかかるレーヴェの攻撃を紙一重でかわし、レーザー棍をコアに向かって投げました。

 

 

 

 

みししっ!

 

 

 
 

「そんな物、受け止めてくれる!
俺の奥義を忘れたか! 時空跳躍!!」


レーヴェは独自の遊撃士能力を発動させ、コアの目の前に瞬間移動しました。

 

 

 

 

いけない! 避けてレーヴェ!!

 

 

 
 

遊撃士の理に至ったエステルの力を乗せて放たれたレーザー棍は、絶滅した全ての遊撃士の魂に包まれ、巨大なエネルギーの矢となり突き進みます。そしてレーヴェの受け止めようとしていた手と、体ごと射抜き、コアに突き刺さりました。

 

 

 

 

みししッ!!

 

 

 
 

エステルとレーヴゥの戦いに決着が付こうとしている頃、飛び立ったジーク号内では、ナイアルが格納ブロックにヨシュア姫を呼び出していました。

 

 

 

 

ナイアル、重要な話とは何ですか。
早く戻って僕もプログラム解除を手伝いたい。

 

 

 

 

お姫さん、悪いが降りてもらうぜ。

 

 

 
 

ナイアルは脱出ポッドにヨシュア姫を押し込み、ドアを閉めます。

 

 

 

 

何をするんだナイアル!
ここを開けなさい、命令だ!!

 

 

 

 

おっと、マスター命令は無効だぜ。
俺は今、エステルの嬢ちゃんに仕える身になっているんでね。
あんたが乗っていたら、この船は引き返せない。
共和国軍艦隊に向けて射出だ。ドロシー!

 

 

 

 

『了解ですぅ』

 

 

 

 

……エステルを、頼む……。

 

 

 

 

言っただろ、俺達ロボットは主人を最後まで助ける。
あんたも、エステル嬢ちゃんもだ。

 

 

 
 

ヨシュア姫を乗せた脱出ポッドは射出され、高速宇宙艇ジーク号はリベルアークに向けて旋回していきます。
リベルアークの中枢部では、コアを失い暴走したエネルギーがスパークし、各ブロックに火の手が上がっています。エステルは横たわるレーヴェを抱き起こしました。

 

 

 

 

みしし……。

 

 

 
 

「かつての遊撃士たちがそうであったように、俺と言う概念が失われようとも、遊撃士の魂となりこの世界に残る。しかし、俺の追い求めたのはそんなことではない。力を使い矛盾に満ち溢れた世を律し完璧なる世界を再構築することだ」

 

 

 

 

師匠、力を使わなくても戦えるのよ。
ヨシュアがそれを証明している。

 

 

 

 

……みしし……。

 

 

 
 

「そうか……、そうだな。力を追い求め、俺は真の力とは何かを
見失っていた。お前は最後のその瞬間まで己の信じる道を、諦めるな」

レーヴェの姿は消え去り、纏っていたコートだけが残されました。
辺りは既に炎に包まれ、リベルアークが崩壊を始めます。

 

 

 

 

「諦めるな」か。……しょうがないわね!

 

 

 
 

エステルはまだ飛び立てる船がある可能性を考え、宇宙船格納ベイに向かって走ります。壁や床が崩れ、空気も薄くなる中、パージされつつある足場に飛びつきながら進みます。

 

 

 

 

ハァハァ……ハァ……。

 

 

 
 

やっと駆け込んだ宇宙船格納ベイは、既に一隻も宇宙艇は無く、静寂に包まれ半壊していました。電気も消え、宇宙とベイを遮るゼル状の膜の向こうに、無限に続く闇と目が眩むほど広がる星雲が瞬いて見えました。

 

 

 

 

はは……、終点まで来ちゃった。綺麗な宇宙(そら)ね。
……ヨシュアと、一緒に見たかったな……。

 

 

 
 

リベルアークが中枢から爆発します。エステルがいた宇宙船格納ベイも爆風で切り離され、音も無く崩壊していきます。空気が無くなる中、エステルの目の前のゼルの向こうに、高速宇宙艇ジーク号が飛び込んできます。ハッチに掴まったナイアルが手を伸ばし叫んでいます。聴こえなくても、エステルには解りました。

 

 

 

 

『飛べ!』

 

 

 

 

!!

 

 

 
 

エステルは壁を蹴ってゼルを破り飛び出します。ナイアルはエステルをキャッチし、ハッチを閉めます。機内には酸素が送り込まれエステルは咳き込みながら息をしました。リベルアークの爆発に巻き込まれたジーク号は機体に大きな衝撃を受けます。

 

 

 

 

ドロシー、どうにかしろー!!

 

 

 

 

わたしはぁ皇族用の最高スペックのナビゲーターロボですよぉ。
このぐらい全く大丈夫ですぅ。すいすいーっと行っちゃいますよ~。

 

 

 
 

リベルアークの爆発により四散した瓦礫を全て避けながら、ジーク号はその宙域を脱出しました。

 

 

 

 

い……生きてる……。
あなた達を雇って良かったわ……。

 

 

 

 

ピューイ!

 

 

 
 

高速宇宙艇ジーク号の機体が攻撃を受けスパークし、非常警報が鳴ります。ドロシーの見上げるレーダーに、リベルアークから離脱した帝国艦隊が映りました。

 

 

 

 

わわわ、砲撃されてますぅ!
これはいくらなんでも避けきれないですよぅ!!

 

 

 

 

チッ、おいでなすったか。この船武器は無ぇのか?

 

 

 

 

戦艦相手の武器なんか積んでないけど、
対戦闘機用のバルカンなら……。

 

 

 

 

きゃあ!!
逃げ切れませぇぇぇん!!!

 

 

 
 

すると前方から無数の粒子光線がジーク号を横切り、
帝国艦隊に次々に撃ち込まれました。

 

 

 

 

あれは、共和国軍大艦隊ですぅ!!

 

 

 
 

共和国軍の全艦隊が砲撃を開始すると、
帝国艦隊は撤退していきます。

 

 

 

 

た、助かったぜ……へへっ。

 

 

 
 

共和国艦隊よりジーク号に通信が入ります。

 

 

 

 

『エステル、無事かい?』

 

 

 

 

ええ、大丈夫よ。彼らのおかげでね。
久しぶりね、ヨシュア。……会いたかった。

 

 

 

 

『今回の件で完全に帝国との戦端が開かれてしまった。
僕は覚悟を決める。性別を偽るのも終わりだ。
平和のために共和国軍を率いて戦うつもりだよ』

 

 

 

 

……。

 

 

 

 

『君に戻ってきてもらいたい。エステルの力が必要なんだ。』

 

 

 

 

……。

 

 

 

 

も~!! ヨシュア姫さま!!
どうしてそうゆ~言い方になっちゃうんですかぁ!

 

 

 

 

『あ……、ごめんエステル。違うんだ、あの時もだけど、
そうじゃないんだ。君が遊撃士能力を嫌っていることも、
その力を政治や争いに使いたくないことも解っている』

 

 

 

 

……。

 

 

 

 

『ただ、一緒にいて欲しいんだ。
……力なんかじゃない。僕は君自身が、大好きなんだ』

 

 

 

 

……うん。
一緒にやっていこうね、ヨシュア。

 

 

 

 

ぐすっ……、本当に良かったですぅ!
これでわたしはぁ、皇族専用の肩書きが守れますねぇ。

 

 

 

 

ちょっそんな、結婚とか、
そんな話は早すぎるわよ!!

 

 

 

 

わたしはヨシュア姫さまの元に帰れるって意味で
言ったんですよぅ。エステルちゃん取り乱さないでください~。

 

 

 

 

え、もう、やめてっ! 恥ずかしいわ!!

 

 

 

 

『はは、エステルは相変わらずだね』

 

 

 

 

チッ、真空(そと)で凍ったタバコに火がつかねぇや。
結局、俺らはラブレター届ける使いっ走りだったワケかよ。
やってらんねぇぜ、まったく……。

 

 

 
 

──そして……、
共和国と帝国との戦いは、今後さらに激化していきます。
エステルの遊撃士能力は新たなる進化を遂げていくのか。
ヨシュアの遊撃士の封印はどのようにして開放されるのか。
……あのレーヴェは本当に死んだのか。
しかし、それはまた別のお話で語られることでしょう。
『アニメ大予想ストーリー 宇宙の軌跡』を終了致します。
ご覧頂き、まことにありがとうございました。

 

 

 
『宇宙の軌跡』
END

 

みなさん、お疲れ様でしたぁ!
長かったですねぇ。ホント長すぎですよぅ。

 

 

 
 

どーだ!! 俺達だけのオリジナルストーリーだぜ!
これについて語る分には、小出しやら気遣いやらいらねぇ!
情報だって履いて捨てるほど説明できるぞ!!
もう俺達の自由だ! うやっほーーぃ!!

 

 

 

 

う~ん、でもぉ、このお話の流れだとぉ、
ジョ○ジ・ル○カスに怒られるんじゃないですかねぇ。

 

 

 
 

!!!

 

 

 

 

まぁ、ここだけのお話という事でお願いします。

 

 

 
 

そんなぁ……。すっげぇ頑張ったてぇのに!
だいたい、そんな事いったら全ての物語が
手○治虫かシェイクスピアに怒られるだろうが!!

 

 

 

 

初めから解っていましたけどぉ、
頑張る方向性がオカシイですよ?